我々国民は、選挙によって政治家を選択することができますし、また、提供される商品やサービスの購入によって企業も選択することができます。

 つまり、3Eに基づいたクリーンエネルギー戦略の構築と実行によりもたらされる国益によって日本が21世紀も繁栄国家であり続けることができるかどうか、そのキャスティングボートを握っているのは、スタニスロウ氏の言葉を借りるまでもなく、我々国民なのです。

 一人ひとりの国民の手に委ねられた日本およびエネルギーの未来。この我々に与えられた自らの将来を自ら決定する権利を正しくかつ有効に使うために、我々一人ひとりがエネルギーリテラシーを高める必要があるのではないでしょうか。

 本連載が読者の皆様のエネルギーに対する関心・意識を深める一助となれば望外です。頑張ろう、日本!!!

連載を終了するにあたって

複数社の「一連のミス」が原因、BPが原油流出で報告書

メキシコ湾で発生した石油プラットフォームの爆発事故〔AFPBB News

 2010年4月20日、米国メキシコ湾において1500メートル深海にある油田の掘削活動を行っていたディープウォーター・ホライズン(Deepwater Horizon)石油プラットフォームが爆発事故を起こしました。

 11人の作業員の方々が亡くなられた衝撃的なニュースは、世界中に瞬く間に広まりました。その事故から3日後、BPに勤務する米国人元同僚と会話を交わしました。

 その際、2005年に15人の尊い命を奪った米国テキサス州にあるテキサスシティ(Texas City)製油所爆発事故に続き、今回の大惨事を引き起こしてしまったBPに対し深い失望感を共有したと同時に、我々のいるオイル産業はそもそも危険なビジネスであるという認識を改めて強く持つ必要があるとの意見で一致しました。

 ディープウォーター・ホライズン爆発事故は、時間の経過とともに、尊い人命を奪った惨事から、事故によって漏洩した原油が海洋生態系を破壊する史上最悪の環境汚染の規模へと焦点が移っていきました。

 今回の事故は、我々の現代社会を支えるエネルギー供給システムが、人の命と環境という何物にも代えがたいものを危険にさらしたリスクの上に成り立っている事実を改めて明白にしました。

 一方、エネルギー産業の明るい未来を感じさせる出来事もありました。米国の電気自動車メーカーのベンチャー企業テスラ・モーターズ(Tesla Motors)が、2010年6月29日にナスダック市場(NASDAQ)に上場を果たしました。