こうした関西ツアーに参加した中国人に、具体的にどこが気に入ったのかと尋ねると、多くの人は真っ先に京都の伏見稲荷大社の名を挙げます。中国で出版される日本ガイドブックでも、伏見稲荷大社がよく表紙になっています。あの鳥居が連続して並んでいる光景が印象に残るとのことで、境内のあちこちにある狐の像もチャーミングだという声を女性を中心によく聞きます。

 正直言って、筆者にとっては、中国人が京都の観光地に興味を示すことはやや意外に感じました。というのも、京都の寺社仏閣などは古代中国の文化に影響されて造られたものが多く、欧米人ならまだしも中国人からすれば見慣れているはずだし、それほど新鮮に映らないのではと思っていたからです。しかし、中国人の友人からある説明を受けて、深く納得させられました。つまり、「中国のお寺は文化大革命の頃に大半が壊されて、今はもうほとんどない」というのです。

 また、京都の寺社仏閣を見た際の感想について詳しく聞いてみると、なぜだか多くの中国人がみな口を揃えて「一休さんを思い出す」という妙な感想を漏らします。

 またなんで一休さんが出てくるのかさらに聞いてみると、日本のテレビアニメの「一休さん」(中国名「聡明的一休」)が中国でもかつて放映されており、老若男女問わず幅広い層の間で高い人気を得ていたそうです。そのため、今でも一休さんを尊敬している中国人が多いとのことでした。

 言うまでもなく、京都は一休さんが実際に活動した場所です。林立する寺社仏閣がアニメの中に映っていた光景と見事に重なるため、中国人からすれば外国であるにもかかわらずデジャヴュを覚え、深く感動するのだそうです。

和牛に興奮する中国人女性

 訪問地のほかに訪日旅行で印象に残ったことは何かと尋ねると、女性の場合はほぼ必ずといっていいほど「(高級)和牛がうまかった」と、本当に目を輝かせて話してくれます。