画期的さつまいも「べにはるか」がヒットした理由

さつまいも400年の歴史と現代の科学(後篇)

2016.11.18(Fri)漆原 次郎

 たとえば、2014年9月に農研機構が公表した「からゆたか」は、佐賀県の唐津や上場などの地域での栽培が始まった新品種だ。「から」は、さつまいもの別称「唐いも」由来だが、佐賀県は「唐津・上場地域の風土に適していることが大きな特徴。“唐津”をイメージさせる素敵な品種名」と期待を寄せている。

 さらに、あまり知られていないが、日本産のさつまいもは海外でも注目されている。

「たとえば香港では、食べきりサイズの焼きいもを街なかで食べ歩く習慣があるそうです。日本では小さめのいもでも、現地では手に持つのにちょうどよい大きさ。甘味も強いので、受けているようです」と、片山氏は話す。

 宮崎県南端の串間市では、地元の品種「やまだいかんしょ」の香港への輸出を2004年から行っている。輸出量は年々増加。シンガポールや台湾などにも販路を拡大しているという。

「今後は、アジアなどの国外に向けて、日本の美味しいさつまいもを売り込むための技術開発もできればと考えています」

救荒作物としての役割は終わったけれど・・・

 日本で人工交配によるさつまいもの育種が始まったのが1914(大正3)年。父系と母系の品種を交配させて新品種を生み出し、さらにその品種を父系あるいは母系として交配し、さらに新品種を生み出す。これを繰り返して良質な品種を多様に生み出してきた。

 救荒作物としての役割を果たし終えた今もなお、より良質のさつまいも、地域特産品としてのさつまいも、輸出向けのさつまいも作りのために、蓄積された知見を活用していく余地は十分ありそうだ。

「さつまいもには食物繊維やビタミンC、ポリフェノールが豊富なため、機能性にも優れています。食べて美味しいし健康にも良いので、さつまいもがもっと広まってもらえればと思います。その役に立てればいいなと思っています」(片山氏)

 食の多様化が進んだ今、良質な新品種を出し続けることが、日本のさつまいもを発展させるための鍵となっている。

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