フェイスブックはSNSをモバイル分野にも拡大するという戦略を掲げており、それが奏功してか既に2億人が同サービスのモバイルアプリを使っている。この数は1年前に比べて実に3倍。
スマートフォンやアプリ利用の急増を背景に、それをマーケティングに活用できればビジネスチャンスが広がる、そう期待されているようだ。
ただ、米国にはフォースクエア(foursquare)といった位置情報を利用したSNSがいくつかある。今回のフェイスブックの新サービスは、これら競合SNSにとって脅威になるだけでなく、ウェブユーザーの獲得を巡って米グーグルと真っ向から対立することになるとアナリストらは指摘している。
とりわけグーグルとフェイスブックはそれぞれ、企業や消費者ユーザーのハブサイトを目指している。またこれから急拡大すると言われるモバイル広告、モバイル検索の市場で先んじようと競い合っている。
そうした中、フェイスブックはユーザー同士のつながりを利用できるという点でグーグルよりも有利だとアナリストは分析している。こうした特典情報は友人ネットワークを通じて瞬く間に広がっていく。
SNSという特性、ユーザーの利用の仕方、サービス滞在時間といった様々な点で、この分野で先に成功を収めているフェイスブックの方に勝ち目がある。ネットのタイタン(巨星)と言われるグーグルであってもフェイスブックの牙城を崩すのは難しいというわけだ。
モバイルは中小の小売業者にうってつけ
一方で、米ウォールストリート・ジャーナルは、今回の新サービスは地域広告の市場に大きな変化をもたらすと予測している。
フェイスブックのモバイル利用が増えれば、消費者がこれまで利用していた新聞やチラシ、ダイレクトメールの紙のクーポンに取って代わるようになる。
中小の企業はネット広告の導入に遅れがちだ。市場規模が小さいため、どの程度の費用対効果が見込めるか判断できず、ネットへの参入を躊躇する傾向にあるという。
しかしユーザーの位置情報と連動するこうしたサービスは、中小にとってうってつけ。これまでのマスマーケティングでは不可能だった展開が可能になるからだ。むしろギャップやマクドナルドといった大手チェーンよりもその効果は高いと言えるのかしれない。
