(本記事は2016年8月9日に公開されました)
8月3日、北朝鮮は準中距離弾道ミサイル「ノドン」2発を発射、うち1発が秋田沖約250キロメートルの日本の排他的経済水域(EEZ)内に着弾した。発射地点は北朝鮮南西部の黄海南道殷栗付近で、飛距離は約1000キロメートルに達した。
これまですでに北朝鮮はノドンの発射実験を繰り返している。だが、これまでは飛距離を抑えた約500キロメートル程度の発射実験がメインだった。今回の飛距離は過去最高で、日本のEEZ内への着弾も初めてだった。
北朝鮮が常に意識しているのは韓国とアメリカ
では、今回のノドン発射の目的は何か?
ノドンの改良による性能試験というのは、可能性がないわけではないが、根拠がない。ノドンが射程1300キロメートル以上であることはすでに分かっていることであり、今回の発射によって性能の向上が確認されたという事実はない。
とするならば、その目的は、軍事的にはノドン部隊の実戦的訓練ということになり、政治的には「長い飛距離を飛ばしてみたこと」そのものにあるとみていいだろう。
ただし、日本のEEZに着弾したからといって、日本を恫喝・牽制するのが目的だったとはいえない。今回の発射地点と着弾地点は、北朝鮮の国土から1000キロメートル飛ばそうとすれば、あれしかないコースといえる。