「ウィー・キャン」思い出して=「黒人大学」卒業式で贈る言葉-米大統領

米首都ワシントンにあるハワード大学の卒業式で演説するバラク・オバマ大統領(2016年5月7日撮影)〔AFPBB News

 5月末頃から6月は毎年、米国の大学では卒業式が行われる。多くのカレッジや大学の卒業式は、1人の卒業に家族・親類縁者・友人が総出でやって来るし、大学も2~3日かけて行事を行う。この時、同時に卒業10周年、20周年や50周年記念の同窓会なども賑やかに行われる。

 私の送り出したある学生は、ちょうど彼のお爺ちゃんが卒業50周年の同窓会だったことがある。15周年、25周年、30周年なども行われる。これらは大学にとっては格好の寄付金集めの機会となっており、同窓会係の職員が遺言書での大学への寄付の書き方や節税の仕組みなども説明する。

 卒業式、学位授与式はほとんどのところで、学長あるいは学部長から一人ひとり証書が手渡しされる。

 学部長や教務担当副学長から名前が呼ばれると、一人ひとり壇上に上がって行き、家族や友達に手を振ってから学長の前に出て、証書を読み上げてもらって証書を受け取る。四角いアカデミック・キャップの房を左から右へ移すと、これで学位を受け取ったという印である。

昼食会、夕食会で教授陣と家族が交流

 いろいろなやり方があるが、式の前日には教員・職員と卒業生・家族の夕食会が持たれたりする。式当日は午後の式の前には、大昼食会があるところもある。

 大きな大学では各スクールごとに卒業式があり、1週間かけて毎日午前に1つ、午後に2つ、例えば、ある日の午前には医学校(メディカル・スクール)、午後にリベラル・アーツ(一般教養)・スクールと工学部、という具合に行われる。

 一連の行事の中の1つのハイライトは、外部から著名人や有名同窓生、政治家や成功した企業家などに来てもらって、卒業生へのはなむけのスピーチをしてもらうことだろう。

 学内で卒業生が投票で選んだ教授のこともあるが、大学当局が全米からの有力者を招請して、社会へ出て行く「新大人」への教訓や名言を与えることも多い。

 大学はこの時、スピーチの引き受け手には名誉博士号などを与え、社会とのつながりを強めようとする。学生たちもそのスピーチを楽しみにしているし、各地の大学で誰がどういう話をしたか、大学関係者の間では評判になる。

 今年のいくつかのスピーチから、要点を紹介しよう。