東京都知事選挙は、予想通り小池百合子氏の圧勝に終わった。「保守分裂」を好機と見て民進党や共産党などが推薦した鳥越俊太郎氏は、小池氏の半分にも及ばない惨敗だった。2位の増田寛也氏と小池氏を合わせた「保守票」は470万票で、歴代の都知事選で最高だ。
自民・公明の組織票は前回の舛添要一氏の211万票程度と考えると、今回の選挙結果を「保守・革新」という昔ながらの図式で見ることはできない。増田氏の179万票は組織票の8割以上を押えたが、小池氏の291万票はそれとは異質である。彼女を支持した有権者は何を求めたのだろうか。
投票率の増加が小池氏の勝因
図1は、歴代の都知事選の投票率を示したものだ。美濃部亮吉が退陣した1979年以降、石原慎太郎氏、猪瀬直樹氏、小池氏のような無所属の候補が当選したときは投票率が高く、鈴木俊一氏や舛添氏、2期目以降の石原氏のように自民党推薦の候補が当選したときは40%台と低い(例外は青島幸男氏)。
1999年に初当選したときの石原氏は無所属で、投票率は57.9%と高かったが、彼が自民党推薦になった2003年には投票率は45%に下がった。2012年に史上最高の得票で当選した猪瀬直樹氏も事実上の無所属候補だったが、このときの投票率も62.6%と高かった。
典型的な組織選挙だった2014年は低かったが、今回は59.7%と13.6%ポイントも上がった。これは約149万票も増えたことを意味しており、これは小池氏の得票の半分以上に相当する。