クジラ死骸の胃から大量のゴミ、台湾

台湾南部で発見されたマッコウクジラの死骸の胃から大量のプラスチック袋や漁網が見つかり、海洋ゴミの危険性が再び浮き彫りになった(2015年10月)〔AFPBB News

 5月15日から2日間にわたり、富山市で、主要7カ国(G7)環境相会合(EUから環境・海事・漁業担当委員も参加)が開かれた。

 気候変動など7つの議題を議論、長期温室効果ガス低排出戦略を「可能な限り早期」かつ十分にCOP21で定められた期限内に策定し提出することをコミットした。

 会合では、化学物質管理についても話し合われ、水銀に関する水俣条約の早期発効を支持、日米両国は、今年後半には、水俣市で関連のワークショップ開催を計画中との共同声明も発表された。

 16日には、各国環境相らが、イタイイタイ病資料館を見学。重度の公害病に悩まされてきた日本の姿は、いまや日本人の記憶からも消えつつあるが、世界の現実を見れば、今一度、思いかえす必要があるだろう。

新潟水俣病事件の実態

 昭和電工鹿瀬工場が、有機水銀を阿賀野川にたれ流し、自然と共生する生活を送り、川魚を食べ阿賀に生きる人々の健康を蝕んだ新潟水俣病。『阿賀に生きる』(1992)は、そんな阿賀野川流域の人々を静かに見つめるドキュメンタリーである。

 東大在学時から水俣病の運動に関わったという佐藤真の初監督作で、民家を借り、スタッフ7人で共同生活を送りながら、かつての鮭漁名人、舟大工、餅つき職人一家を中心に、3年間、生活に密着、その日常を描き出し、国内外で数多くの賞を受賞した。

 そこでは、1965年の新潟水俣病発生から27年が過ぎても「未認定患者」が多数いて、いまだ訴訟中の現実も語られる。

 今回、富山では、海を漂う大量の微細プラスチックが海の生態系の脅威との認識を確認、ごみの微細化前の回収、国際機関との連携などの対策も挙げられている。

 そんな「海洋ごみ」の実態については、世界のごみ問題の現場をアカデミー賞俳優ジェレミー・アイアンズが訪れるドキュメンタリー『TRASHED ゴミ地球の代償』(2012)が、詳細にリポートしている。

 年々ごみは増え続け、重金属、放射性物質など、有毒化も著しい。埋立地は不足しているうえ、土壌汚染への懸念もある。焼却すればダイオキシンの問題がある。埋立地でも焼却場でもなく、海へと遠大な旅に出るごみもある。海流の渦に乗り、何年もかけ、その中心に到達。その過程で、分解されていく。