主要産油国の増産凍結協議が4月17日のドーハ会合で決裂して以降、事前の予想に反して原油価格は1バレル=40~46ドル台で推移している。
その要因はクウェートの石油産業労働者の大規模スト(4月18日から日量約170万バレル減少、デモは3日で終息)とカナダ・アルバータ州の大規模な山火事(5月1日に発生、日量約100万バレルのオイルサンドの生産が停止)である。
このところ原油市場では、米国での原油在庫が高止まりしているにもかかわらず、シェールオイルの急速な減産を見込んで原油価格が上昇するとの見方が優勢だった(5月2日付ブルームバーグ)。これにクウェートのストやカナダの山火事が加勢したため、原油価格は2016年2月に付けた最安値(1バレル=26.19ドル)から約60%以上の急回復を示している。
4月27日付ブルームバーグによると、原油価格が同45ドル近辺に回復したことで「石油業界の新たなマジックナンバーは50ドルだ」と言われ始めているという。石油業界関係者が「原油価格が1バレル=50ドルを上回れば石油会社の掘削活動が盛んになり、必要とされているキャッシュフローの押し上げにつながる」との予想を相次いで示しているからだ。油田コンサルタント会社ウッド・マッケンジーも「原油価格の平均が1バレル=53ドルなら世界の石油業界の上場企業大手50社は損失を食い止めることができる」としている。
業界関係者の期待どおり、原油価格は年後半に向けて1バレル=50ドル超えとなり、その後安定的に推移していくことになるのだろうか。