新潮社が発行する季刊誌「webでも考える人」の公式サイト「webでも考える人」から選りすぐりの記事をお届けします。
採石した跡の穴に水が溜まってできた湖
続いて、興奮したわれわれが連れて行かれたのは、里山ハイキングである。
里山ハイキング・・・。
語感からは、全然スペクタクルな匂いがしてこないが、まあついていった。
林の中にトロッコの軌道が残る小さなトンネルと、その横に廃屋となった小屋が残っており、いい感じに枯れていた。小屋の内部にはヘルメットや当時使われていたのであろうノートが散乱し、その上に蔦が這っていた。
「すべてに注意」という看板があちこちに掲げてあった。
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大谷石は、江戸の中頃から本格的に採掘が始まり、大正から昭和中期にかけては相当景気がよかったらしい。しかし昨今は安価な建材に押され、現在営業している採掘業者はひとケタに減ってしまった。この廃屋もその名残りだ。