ニューヨーク州予備選で大勝したヒラリー・クリントン前国務長官は、勝利宣言で「予備選はいよいよラストストレッチに入ってきました。勝利は手の届くところに見えてきました」と豪語した。
この分だと、6月7日のカリフォルニア州予備選を待たずに指名が確定するかもしれない。
建国の祖にとっては「想定外」のことが起こる2016年
考えてみると、世界の目は不動産王ドナルド・トランプ氏が巻き起こしている「トランプ旋風」ばかりに注がれている。
だが、共和党内のごたごたも含め、たとえ同氏が共和党大統領候補に指名されたとしても本選挙で勝つと見る米国人はほとんどいない。
つまり、「ぶっちゃけて言えば、アメリカ合衆国では建国238年の歴史で初めての女性大統領が生まれることはほぼ決まり」(米有力誌ベテラン記者)なのだ。
国務長官経験者が大統領になるのはトーマス・ジェファーソン第3代大統領ら6人しかいない。そしてジェームズ・ブキャナン第15代大統領以来である。つまり、本当に外交が分かっている大統領が168年ぶりに誕生することになる。
詰まるところ、ヒラリー大統領が誕生するということは、米国史上、大変なことなのだ。
後世の史家たちは、ヒラリー氏を大統領に選んだ2016年を画期的な年として語り継ぐことだけは間違いない。
そんななかで、一般大衆に面白半分に支持された「暴言男」のトランプなる男の巻き起こした騒ぎなどは、取るに足りない一事件として歯牙にもかけないかもしれない。
バラク・オバマ氏の黒人大統領に次いで女性大統領の誕生。ジョージ・ワシントンやジョン・アダムスら建国の祖にとっては、黒人や女性が大統領になるなどという想定は全くなかったに違いない。