先日、セブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文会長兼CEOが、全ての役職から退く意向を明らかにしました。
セブン-イレブンの天皇と呼ばれ、絶大なるカリスマ性を誇る鈴木氏。『朝令暮改の発想』(鈴木敏文著、新潮社)や『商売の原点』(緒方知行著、講談社)など、鈴木氏に関する多くの書籍があり、崇拝している方も多いことでしょう。
退任後の鈴木氏は、どのような新しいステージに向かうのか。また、流通業界の大巨人、セブン&アイ・ホールディングスの新社長はどんな舵取りを見せるのでしょうか。今後の行方に大いに注目が集まっています。
さて、その鈴木氏には一時、自分の長男を後継者にするのでは、という噂も流れました。創業家でも、大株主でもない鈴木氏。グループ内で影響力を維持するためにも、子どもに後を引き継がせたい思いがあったとしても不思議ではありませんでした。もちろん、実利だけではなく、多少なりとも長男に対する親心も入っているのでしょう。
ただ、実の子どもが後継者になったとしても、うまく行くとは限らないもので・・・。
あのお家騒動を経済ジャーナリストが斬る
『「理」と「情」の狭間 大塚家具から考えるコーポレートガバナンス』(磯山友幸著、日経BP)
昨年(2015年)勃発した、大塚家具の創業者で会長の大塚勝久氏と、長女で社長の久美子氏の大塚家具の経営権を巡るバトル。
浪花節で情に厚い勝久氏と、クールな才色兼備の久美子氏。母親や他の兄妹も巻き込んでのお家騒動に加え、2人のキャラクターが際立っていたため、ワイドショーの格好の標的にされました。
その大塚家具騒動の事の顛末を記したのが本書です。しかし、そこは経済ジャーナリストの著者。センセーショナルに人間模様を中心に扱うワイドショーとは一線を画し、あくまで一上場企業内の経営陣の争いとして冷静に分析していきます。
今回の騒動の大きなポイントは、コーポレートガバナンスを強化するための社外取締役の存在でした。