(写真はイメージ)

 世の中を騒がせたSMAPの独立騒動には、違和感を覚えた。普通はスポーツ紙の芸能ネタなんか問題にしない一般紙もこれを追いかけ、事務所から正式の発表もないのに「SMAP×SMAP」の冒頭でメンバー5人が謝罪した。

 結果的には独立も解散もなかったので、事務所が「何もありません」と否定すれば終わりなのに、新聞やテレビで憶測が乱れ飛び、メンバーの謝罪も誰に何を謝罪しているのか分からない。この背景には、芸能界だけでなく日本のメディアの病理がある。

テレビ局を支配するジャニーズ事務所

 問題が公になったのは、ジャニーズ事務所のメリー喜多川副社長が昨年(2015年)1月に行った『週刊文春』のインタビューだった。ここで彼女は「[SMAP担当の]飯島マネジャーが事務所の中に派閥をつくっているという噂が本当なら辞めさせる」と明言した。

 これをきっかけに飯島マネジャーの独立が、業界では取り沙汰されるようになった。彼女の育てたSMAPのメンバーの独立も弁護士を入れて協議され、4人は独立の意向を表明したが、木村拓哉だけは残留を表明したという。当初は移籍先として名前のあがった芸能事務所も、キムタクなしでは無理だということで話は昨年のうちに壊れたようだ。

 各社の報道では「キムタクが4人の独立を思いとどまらせた」という話になっているが、これは疑わしい。SMAPの売り上げは年間100億円以上といわれ、ジャニーズ事務所の稼ぎ頭だ。事務所が彼らの独立を阻止するためにはあらゆる工作をするだろう。

 独立しようとした売れっ子タレントが事務所とトラブルになるケースは、芸能界では珍しくない。特にジャニーズ事務所の市場支配力は大きいので、「うちから独立したタレントは使うな」とテレビ局に通告すれば、局側も従わざるをえない。