優れた教育って何なのでしょう? あるいは「卓越した教育」とは?
難しいことを教えていれば、卓越していると言えるのでしょうか? 私は逆の考え方です。最も高度な内容を、最も平易に教えるのが優れた教育だと思うのです。
高等教育とは何か?
日本政府が教育関係で使う用語というのはなかなか面白くて、少しズレたところがあります。
例えば「初等中等教育」という言葉は「小学校と中学校」ではなくて「小・中」の義務教育と高校なんですね。どうやら義務教育が初等的で高校が中等教育らしい。違っていたらご指摘ください、必ずしも裏を取り切れていません。
が、はっきり認識しているのは、大学で教えることを「高等教育」と言うらしい。18年間、大学というところで教えていて、この「高等教育」という言葉にどれだけお目にかかったか分かりませんので、まず間違いないでしょう。
実は戦前までの「旧制」で考えた方がこのあたりは分かりやすいと思うのです。
つまり義務教育とされたのは尋常小学校とか「小」のエリアだけで、すでに中学に進むというのは、その地方でも限られた人数だったのが1945年以前の教育システムでした。高等学校に至っては全国に7つしかない大変な狭き門、本当に「高等教育」を施す選良の府とされていた。
戦後の教育改革で、旧制中学を「高等学校」と名づけ、これで全国津々浦々に「高等な教育」が普及したか、と問われれば、現状はどうなっていることか・・・。判断は読者の皆さんに委ねましょう。
かつての「旧制高校」は現在の国立大学教養部に相当するもので。それなりに正味「高度」な内容を扱っていたわけですが、現在の高等学校の指導要領も、また現実問題としての履修率も、あまり高度なものにはなっていないように思います。
「高度な教育」とは何か?
これは言葉で特定するのが難しい。ただ、分野を問わずそれでプロとしてやっていける者は、いずれも十分「高度」と言っていいように思います。