ハーバード法科大学院、「奴隷制を連想」と批判された紋章を廃止

米マサチューセッツ州ボストンのハーバード大学〔AFPBB News

 ベルギーの首都ブリュッセルのテロ報道を英国オックスフォードで横目に見つつ、継続して論じているテーマを続けたいと思います。

 教育と人材育成を考えるうえで、重要な観点の1つに「基礎」と「応用」の別があります。今回は新しい形での「応用」の教育、人材育成を検討してみましょう。

 「執行型人材」の育成と仲間内で呼んでいるもので、横文字で言うなら「エグゼクティブ・コース」ということになります。

求められる人材とは?

 高等学術セクターは社会から様々な人材育成のニーズを突きつけられます。

 例えば「即戦力となる人材を育成してほしい」と言われ、学部3、4年で応用最先端のような内容を扱って社会に送り出したら基礎力が不足して困るというクレームが帰ってくる。

 学部だけでは難しいのだろう、では、と分野越境型のリーダー足り得る人材を育成する大学院を作ってみたところ、複数専門が競うようにカリキュラムを作りこみ、1人の学生で消化できるような代物からだんだんかけ離れていって迷走五里霧中・・・。

 いずれも、固有名詞などは避けますが、現実に日本で起きていることです。

 実のところ、私自身も20年ほど前に「元祖文理融合型人材」的な扱いを受け、それで概算要求が提出されてポストができたような経緯と、その後もろもろが機能不全に陥っていく経過を見ていますので、失敗経験を含めて慎重なお話ができるように思います。

 先に結論を言ってしまうと「一身具足」のロールモデルがあらゆる意味で確立されていない。

 例えば、「多様性」を考えてゴージャスなカリキュラムを考えるけれど、1人の人がそれらを食べるという観点が全くない。