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GDPは各国政府が経済政策を考える上で必要不可欠な経済指標だ。(写真はイメージ)

(文:久保 洋介)

 “GDPは20世紀でもっとも偉大な発明のひとつ”
GDP――〈小さくて大きな数字〉の歴史
作者:ダイアン・コイル 翻訳:高橋 璃子
出版社:みすず書房
発売日:2015-08-26

 アメリカ商務省がここまで賛辞を贈るのは異例だ。しかしそれもその筈、GDP(国内総生産)以上に国の経済規模を測れる指標は存在せず、マクロ経済政策はGDPに依拠しながら策定せざるをえない。GDPは、アメリカ商務省だけでなく各国政府にとって経済政策を考える上で必要不可欠な経済指標である。

 一方で、これほど各国経済に多大な影響を与える指標にもかかわらず、その真の姿はあまり認知されていない。GDP全史といえるような書籍は少ない。

 本書は、この「20世紀でもっとも偉大な発明のひとつ」に焦点をあて、GDPの誕生とその後の発展の歴史を紐解いている。

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 たった150ページ弱の分量に、GDPとは何なのか、どのように発展してきたのか、GDPに換わる新たな経済指標とは何かがコンパクトに詰め込まれており、GDP入門書としては最適の一冊だ。

 Wall Street Journal紙の2014年ベストブックにも選出され、Washington Post紙が必読書として推すだけあり、読みやすく、面白い。また、ところどころに散りばめられているGDPに関する逸話が本書をさらに面白くしている。