今年の楽しみは、何と言っても、リオデジャネイロオリンピックの開催。ブラジルのリオデジャネイロを舞台に、熱い戦いの夏がいよいよやってきます。
その、リオオリンピックが終わりましたら、次回は、いよいよ2020年東京オリンピック。リオデジャネイロの熱気を受け、東京も開催まで盛り上がっていきたいものです。
ところで、リオオリンピックでの最大の懸念材料が、テロの発生。昨年(2015年)11月のパリ同時多発テロ事件の衝撃が残っている中なので、なおさらです。このままですと、リオはもちろんのこと、4年後の東京にも、テロの危険性が・・・とは考え過ぎでしょうか。
その、パリ同時多発テロ事件の主犯者たちは、イスラム国(IS)。連日、新聞紙上に登場するイスラム国ですが、その記事だけからでは、いまひとつ実態が掴めないのは私だけではないはずです。
経済学の視点から見たイスラム国
そこでイスラム国を理解するために、まずは『イスラム国 テロリストが国家をつくる時』(ロレッタ・ナポリオーニ著、村井章子訳、文藝春秋)を手に取ってみることに。
本書では、その成り立ちから、組織の在り方まで、的確に解明していきます。
何かとタリバンやアルカイダと同一視されることが多いイスラム国。ですが、本書を読み進めて行くうちに、それは大きな間違いだということに改めて気づかされます。
イスラム国は、まず、各国の思惑が絡み合う中東の隙を突き、領土を確保しました。そして誘拐での身代金や、占領した土地の石油の強奪で、経済的に自立・・・。
そうです、「国家」という概念を持たなかったそれまでの過激派組織とは違い、イスラム国は国家の樹立を目指しているのが大きな特長なのです。
ところで北欧諸国各国政府の対テロリズムのコンサルタントを務める著者には、経済学の修士号というもう1つの顔があります。