プーチン大統領、トランプ氏を「才能ある傑出した人物」と評価

ロシアのシリア空爆は「無差別爆撃」だ。モスクワで年次記者会見に臨むウラジーミル・プーチン露大統領(2015年12月17日撮影)。(c)AFP/NATALIA KOLESNIKOVA〔AFPBB News

 イスラム国やシリア情勢に関するニュースはちょっと複雑だ。

 IS(イスラム国)という「悪役」がいて、それをなんとかしないといけないということで各国が動いているのは事実だが、それだけの単純な構図ではない。アメリカ、ロシア、フランス、トルコ、サウジアラビア、シリアのアサド政権、シリアの反体制派各派、イラク政府、クルド人勢力、イランなどの各勢力が、それぞれ別々の思惑で動いていて、非常に複雑な背景があるからである。

 そのため報道の表面だけに接していると、なんとなく「カン違い」してしまいがちなことがいくつかある。そこで、とくにISを含むシリア情勢の問題について考える際に、まず知っておきたい基本的なことを挙げてみよう。ポイントは7つある。前篇と後篇の2回に分けて解説する。

(1)どの国も、ISを壊滅させる規模の軍事介入をしているわけではない

 有志連合やロシアによるIS攻撃の話題がしばしば報道されるので、まるで諸外国が大規模な攻撃をISに加え、殲滅作戦を開始するようなイメージを持つ人もいるかもしれない。9・11テロ後の対タリバン戦や、2003年のイラク戦争のようなイメージだ。

 しかし、それはまったく違う。有志連合を率いるアメリカに、もとよりそんな気はなく、オバマ大統領はシリアでの米軍地上部隊の作戦を一貫して否定している。アメリカがたいして動かないなか、例えばフランスが突出して行動するわけもない。