去る11月7日、シンガポールのシャングリラ ホテルで、1949年の中台分裂後初めてとなる首脳会談が開催された。
会談の開催が台湾で報じられたのが直前とも言える11月3日の夜であり、中国でも4日であった。そのことから、中台の当局者間で隠密裡に話を進めていたことは間違いない。
一種のサプライズであったことは事実だが、台湾にとってこの首脳談がもたらす影響は短期的には小さいだろう。長期的にみても、中台関係の「現状維持」に変更を加えることにはなりそうにない。
第三国での会談の機会を探っていた中国、台湾
台湾の馬英九総統は、2014年秋に北京で開催されたAPEC首脳会議の機会に、中国の習近平主席との首脳会談を希望していた。だが、中国側が国際会議の場を利用するのは台湾を「国家」として扱っているように誤解されるとして相応しくないと難色を示し、実現しなかった経緯がある。
今回の首脳会談がいつ頃具体的に開催の合意に至ったのかは分からない。結論的に言えば、中国は決して台湾との首脳会談を実現させる意思がなかったわけではない。中台は双方が受け入れられる第三国での会談の機会を探っていた。それが、習近平主席のシンガポールと中国との国交樹立25周年を祝うための訪問に合わせてセッティングされたというわけだ。
シンガポールは、言わずと知れた華人都市国家であり、中台ともに関係が深い。中国が習近平主席のベトナム、シンガポール歴訪をアナウンスしたのは10月末だったから、その時にはすでにシンガポールでの中台首脳会談が織り込まれていたのだろう。