介護施設で高齢女性27人に性的暴行、看護師の男に禁錮9年

病院の処置室〔AFPBB News

 現場における看護師不足解消に時間がかかっている。

 高齢化に伴う医療需要の増加により看護大学などの定員増加が影響しているためか、2014年度の就職中看護師は108.7万人と、この10年間で4割、20年間で2倍に増加しているがそれでも充足とはいかない。

 需要の伸びに供給が追いつかず看護師の取り合いが起きている。看護師は今後10年でさらに50万人必要とされる。

 こういった看護師不足の根底に看護師を養成する看護教員の不足があり、各医療圏で看護教員も取り合いになっている。

死亡率に影響を及ぼす看護師の学歴

 看護教員不足というボトルネックを解消することが全体の看護師不足の改善に大きく影響すると考え、通信教育による看護教員養成コースを2015年度より星槎大学大学院で主宰している。

 豊富な看護経験があり、教育学修士取得に興味を持ち、あるいは教養を身につけたいと望んでいる看護師に対して、仕事をしながらでも「学ぶ場」を提供するためである。

 看護に限らず、仕事の経験が上がってくると教育が重要性を増す。看護師の学歴の高さが入院患者の死亡率と相関することはすでに欧米で示されており*1*2、看護教育の重要性を強調するものである。

 しかし、日常業務の中で看護教育も担う看護師たちは、「忙しい中で教える時間を見つけるのが難しいことが多い」と感じており、新入職者や中途入職者に対する教育や研修の機会の不足を問題視している。

 「人手不足で教育専任をそろえるのは難しい」「入職してすぐに合わないと感じて辞めてしまう人もいる」といった現状(前出の看護師)から考えても、限られた時間の中で「必要な内容を分かりやすく伝える」ことが重要だと考えられる。

 看護の現場でしばしば見られる、こういった「習うより慣れよ」の状況を打破するにはどのようにするのがいいだろうか。

*1=Aiken LH et al. JAMA. 2003;290(12):1617-1623.

*2=Aiken LH et al. Lancet 2014;383(9931):1824?1830.