私は、これまで内科医として12年、主に大学病院で研究・臨床・教育に従事してきたが、今年度から星槎大学大学院専任教授として看護教育研究コースを主宰している。

 これは、通信教育による教員養成や発達障害児の教育を長きにわたって実施してきた星槎大学における、看護師を対象とした新設コースであり、看護師養成施設の教員育成を主眼としている。

 臨床現場でその中心的役割を担っている経験豊富な40代以上の看護師たちの多くは専門学校卒であり、学士や修士の資格を取りたい、あるいは教養を身に着けたいと望んでいる。

 しかし、大学や大学院に通学するために休職することは、個人のスキルアップにとっても、臨床現場にとっても大きな痛手となる。

 そこで、通信教育の利用がクローズアップされている。

看護師不足で病室閉鎖

 働きながら学び、看護教員を目指すことが可能となるからである。最近はメールやビデオ通話などICT(情報通信技術)を駆使して、指導教員と学生間の密なコミュニケーションも取れるため、これまでの通信教育にありがちな「孤独感」や「疎外感」も縁遠いものとなる。

 以前に勤務していた個人病院で、ある日を境にいつも使われていた病室が閉ざされた。聞くと、看護師不足で病床数を減らすことになったという。

 その後も、「使えるはずの」病室は使われないままとなった。看護師不足と聞いてもすでに真新しさは感じないであろうが、病院のベッド数の削減、ひどければ病棟閉鎖に直結する大きな問題である。

 2006年からの、病床における「7対1」配置基準の新設で、不足状態の看護師の「売り手市場」はますます顕著になり、大病院への偏在が加速した。