MRIC by 医療ガバナンス学会 発行
千葉県は極端に医師、看護師が不足している。このため相当数の許可病床が稼働していない。平成23年度千葉県保健医療計画によると、平成20年末の千葉県の人口10万対医療施設従事医師数、就業看護職員数のいずれも、全国45位だった。
使われずに保持される病床
しかも、埼玉県、神奈川県と並んで全国屈指のスピードで高齢化が進行しつつある。これに伴い医療・介護の需要が急速に増加しつつある。
こうした中で、2012年3月30日、千葉県は、千葉県保健医療計画に基づく病床配分を発表した。配分可能病床数3725床に対し、66施設から、5762床の増床計画書が提出され、51施設に3122床が配分された。
許可病床を求めて多くの医療施設が一斉に手を挙げた。医療機関は、需要が増えても、自らの意思だけでは増床できない。しかも、許可病床は、たとえ実際に使われていなくても既得権益として保持されてきた。
実際に増床するためには、看護師を確保しなければならない。病床数に対して、必要とされる看護師数が厳密に決められているからである。
各都道府県では、厚労省が決めた調査方法に基づいて、看護師の需給見通しを作成している。医療機関に職員配置計画、採用計画を問い合わせて、それを集計している。このため、看護師需給見通しは、調査時点での各病院の許可病床数と在職看護師数で決まる。
高齢化による病床需要の推移予測に基づくものではない。急速な高齢化に対応できるような調査ではないのである。最新の第7次千葉県看護職員需給見通しは、平成21年10月から同年12月に実施された医療機関等実態調査に基づいて算定された。
その結果、千葉県では、平成23年2430人、平成27年1480人の供給不足が見込まれるという。今回の3122床の病床配分は、調査の時期からみて、各医療機関からの回答には、一切反映されていない。
3000床の増床だと、おおむね3000人の看護師が新たに必要になる。増床させようとすると合計5500人不足することになる。
そもそも、千葉県は、看護師不足にもかかわらず、看護師養成数が少なかった。千葉県の人口当たりの看護学生数は、2009年段階で全国45位だった。それにもかかわらず、この年以後、千葉県では看護師養成数が減少に転じた。1学年定員が2009年度の2752人から、2013年度には2348人まで減少する。