スコアカード10:米国と中国の戦略核の安定

 核スコアカードでは米中どちらの戦略核が優勢であるかではなく、米中間の戦略核の安定性を評価する。相手からの第1撃に対する第2撃能力の残存性を検証した。

 中国は、路上機動の「DF-31」、「DF-31A」(ICBM)と晋級弾道ミサイル原子力潜水艦(SSBN-Type094)(12発のJL-2潜水艦発射型弾道ミサイルを搭載)の導入により残存能力を高めている。

 そして、「DF-5」ミサイルをMIRV化し、さらに次世代の路上機動ICBM、SSBN 、SLBMを開発中である。米国も戦略核の近代化に予算を投入しているが、START(戦略兵器削減条約)と新STARTの拘束を受け核弾頭と戦略運搬システムの削減を行っている。

 以上の状況ではあるが、2017年の段階で米国が核弾頭数において13対1で優勢である。中国の第1撃はどの年度においても米国の第2撃報復能力を無効化することはできない。

 2003年において米国の第1撃に対し残存できる中国の第2撃能力はほんのわずかであったが、2010年および2017年の段階で中国の核弾頭はより多く残存することになる。そのため、中国に対する第1撃能力を削減することは考えられない。

図13「スコアカード10」