いよいよ、大統領選挙に突入しつつある米国では、早くもオバマ政権の外交を総括し、次期大統領はどうあるべきかに議論が進みつつあります。
そのような中で、経済史・金融史の権威であるハーバード大学教授、ニーアル・ファーガソンが発表したオバマ政権批判の論説は好例です。この論説は、オバマ政権の「法律論偏重」と「リスク回避の追求」を痛烈に批判するものですが、実は日本の安全保障論議にもこの批判は相当当てはまります。日本としても大いに注目すべき内容と言えるでしょう。
リスクを回避したがる法律家ばかりのオバマ政権
まずはファーガソンが先週公開した指摘を簡単にご紹介しましょう。
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キッシンジャーはニクソン大統領のアドバイザーになる以前から、ワシントンで外交政策を策定することの難しさをよく分かっていた。キッシンジャーは「米国に外交政策なるものはない。ただあるのは、予想もしない結果を生み出す一連の行動だけだ」と指摘していた。