この担保には、有形、無形のものがあります。有形の担保は分かりやすく、お金を借りる会社が所有している土地や工場などの不動産資産が一般的です。
無形の担保に融資するプロジェクトファイナンス
一方、無形の担保とは、お金を貸した事業から将来長期間にわたって生み出されるキャッシュフロー資産です。この融資の手法は、プロジェクトファイナンスと呼ばれます。
先に述べた通り、ほとんどのベンチャー企業は有形資産を持っていません。
また、研究室で成功したレベルの技術では、将来キャッシュフローを生み出す、つまり無形資産になり得る技術と判断するには、まだほど遠い段階ですので、一般的な銀行は、いくら面白そうな技術だと思っても、リスクが大きすぎて融資することはできません。
そこで登場するのが、ベンチャーキャピタルと呼ばれる人たちです。ベンチャーキャピタルは、自身も含めた複数の投資家から集めた資金でファンドを組成し、そのファンドから複数のベンチャー企業に投資します。
ベンチャーキャピタルは出資した金額に見合うベンチャー企業の株式を取得し、出資企業が株式上場(IPO)もしくは他の会社に買収(M&A)された場合、所有する株式を売却することによって非常に高いリターンを実現します。
自らの審査能力に賭けるベンチャーキャピタル
一方、出資したベンチャー企業が株式上場を果たせなかったり買収されなかった場合は、出資した資金を回収できないこととなり、投資したお金を失うことになります。ベンチャーキャピタルはハイリスク・ハイリターン型の投資会社なのです。
ベンチャーキャピタルは投資判断をする前に、ベンチャー企業の持っている技術や事業アイデアをしっかり精査(デューデリジェンス)しますが、投資の見返りとして銀行の様にベンチャー企業に担保を要求したりはしません。
技術、アイデアが将来ものになるかどうか、つまり、将来ちゃんとキャッシュを生み出し事業として成功するかどうかのリスクを、ベンチャーキャピタル自身が取るのです。これが、ベンチャーキャピタルの資金がリスクマネーと言われるゆえんです。
ただし、当然ながらベンチャーキャピタルも投資リスクを最小化するように努力します。通常、出資会社の取締役会メンバーになり会社の経営に深く関与しますし、時には外部から経営者を連れてきて最高経営責任者(CEO)を挿げ替えたりもします。