中国流の災害対応、天津の大爆発には通用せず

中国・天津で起きた大規模爆発の現場を視察する李克強首相(2015年8月16日撮影)。(c)AFP〔AFPBB News

 8月12日に天津港で発生した貨物倉庫の爆発事故は、114人の死者と700人の負傷者(19日時点)のほかに、多数の行方不明者を出した。世界4位の貨物取扱量を誇る国際港で、なぜこのような大惨事が起きたのだろうか。

 被害を大きくした主な原因は消防隊による放水だ。倉庫にある化学物質が水に触れると爆発するという情報を、消防士たちは知らなかった。通常、消防士は消火活動の前にどんな消火剤が適切かを判断するが、彼らはこうした情報を掴んでいなかった。

 ここから浮かび上がるのは、爆発を起こした倉庫と、管轄の消防本部との間に情報の交換がなかったという可能性だ。

 少なくとも日本ならば、こうした危険物を貯蔵する事業者は、事前に管轄の消防庁に届け出をして許可を得るものである。

 東京消防庁によると、「例えばガソリンスタンドなどは、貯蔵設備の条件や資格者の有無まで細かい審査を行う」という。こうした手続きを経ることで、消防所は日頃から十分に危険物の情報を蓄積することができる。「火災の通報を受けると同時に、消火剤の判別をつけることができる」(同)のはそのためだ。