先日、某会員制ホテルのレストランへ行ったら、「チプパプ(おうちごはん)」というメニューがあった。一流のホテルのレストランでなぜ、おうちごはんなのか――。
筆者はせっかくレストランで食事するのでそのメニューは避けたが、一緒に行ったお金持ちの友人がおうちごはんを選んだ。
出された食事を見ると、韓国の家庭でよく食べるメニューで、味噌チゲを主菜とした定食風のものだった。しかし、ウニなどの高級素材も使われているこのメニューをおうちごはんと言っていいものかちょっと首を傾げたくなった。
さて、実は韓国では最近、このチプパプという言葉が流行している。このブームを演出したのが、皮肉にも有名レストランチェーンをいくつも経営している人物が出演しているバラエティー番組。
韓国男子、厨房に入る
ペク・ジョンウォンという料理人兼レストラン経営者は、番組内でささっと簡単に料理を仕上げる。食材は市場やスーパーで手軽に買えるもので、砂糖やお酢など調味料の計量は紙コップの大中小やカップ麺の空箱などを利用する。
計量はしっかりやるけれど、素人にもよく分かるように説明していて、必ず最後には「本当に簡単でしょう?」という決め文句を発し、地方訛りで優しく笑いかける。
この番組に触発されて世の男性たちが家でおうちごはんを作り始めているという。他の番組でも男性たちがどんどん料理をしているし、そういった番組の視聴率も高い。
こうしたブームに便乗して、冒頭で述べた高級レストランのメニューにもついにチプパプが登場したというわけらしい。