人は起きた出来事に原因と結果の関係を見出そうとする。起きた出来事の原因を把握し、現在の結果を結末とする1つの物語を完成させる。
物語という形式は現実にひとつのまとまりを与え、理解可能なものにしてくれる。そして、その物語に何らかの意味づけを行い、その意味に伴った感情を生じさせる。
例えば、上司がかんかんに怒っているぞ、という報告を受けた時、「え、なんで!?」と反射的に原因を知ろうとするだろう。上司のもとに行き、上司が怒っている原因を聞く。
そして、原因となることが起きてから現在に至るまでの情報を補完し、経緯をイメージする。こうすることで「上司がかんかんに怒っている」という結末を迎える1つの物語が完成する。
クライアント企業で大問題発生
その物語に対して、「それは自分の責任だ、ヤバい!」「それは自分は悪くない、怒られる筋合いはない」といった意味づけを行い、その意味づけに沿った感情を味わうことになる。
このように人は無意識的に大小無数の物語を完成させながら、その中に生きている。そして、この物語に対する意味づけと感情がその時の精神的なエネルギーを大きく左右する。
経営コンサルタント、心理カウンセラーとして経営の相談に乗るのが私の仕事であるが、聞いている私も「えっ!?」と絶句するようなつらい問題がクライアントの会社で起きることがある。
経営者とはなぜにこれほどまでに問題が降りかかるのか、そんなふうに思うことさえある。それでも前を向いて決断をしなければならない。そのためのお手伝いをさせていただく。
まず現在の状況を整理し、多角的な視点から選択肢を考え、それぞれの選択肢を選んだ場合に想定される未来をできる限り明確にシミュレーションしていく。そして、想定されたそれぞれの未来に対してどういった対応策を打つかを考える。
ここまでの状況を文字や図で書き出し、視覚的に把握できるようにすることで、「こうなったらこうすればいい」「ああなったらこうすればいい」と今後の展開を頭で理解できるようになる。