今の仕事をこのまま続けていていいのか――。多くの方が一度はこの疑問を感じたことはあるのではないだろうか。
人は仕事に何を求めるのかを考える際には、経済的な満足感と精神的な満足感の2つの要素がある。経済的な満足感はより高い給料を得られるようにするのみであるが、精神的な満足感は多くの要素から構成される。
精神的な満足感を考えるうえで、人に喜んでもらえる、人から感謝されるということを実感できるかどうかは、極めて重要な要素である。
この要素が長期にわたって満たされないと、仕事に対するモチベーションが下がり、その仕事に疑問を感じ始める。
先日ある企業で営業研修を実施した際に、1人の若手の女性から質問を受けた。
営業に嫌気がさした人への特効薬
「すごく基本的な質問で申し訳ありませんが、お客さんに電話をかけてアポイントを取って訪問して、自社の商品を買ってくださいってお願いして回ることに疑問を感じるんです。相手にとってただ迷惑なことをずっとし続けているんじゃないかって思うんですが、でも営業ってそういう仕事なんですよね」
すぐにでも営業の仕事を辞めたいという雰囲気が伝わってきた。断られて当たり前、とにかく売らなきゃ、そういう営業の仕事にほとほと疲れているようだった。
「それは営業じゃなくて売り込みになっているかもしれないですね。売り込みは相手にとっても迷惑でしょう。でも営業というのは相手のお役に立てることを先にやる仕事なんです。お客様のところに行ったら何でもいいから相手のお役に立てることはないかなっていう視点でお話を聞いてみてください。売るのはその後でいいですから」
私がこう話すと彼女の目がきらきらし始めた。それから数か月後の営業研修で彼女が営業の状況について発表してくれた。
「何かお役に立てることはないかなっていろいろ考えながらお客様と会うようにしたら、私でもいろいろお役に立てることがあることに気がつきました。それで先にそれをやるようにしたらお客さんが喜んでくれて仲良くなれるんです。そしたら、商品の説明もじっくり聞いてくれるようになって・・・。営業が楽しくなってきました」