幕末の時代、貿易で潤う薩摩藩と過激な倒幕運動を進める長州藩。この両藩は犬猿の仲にあったが、1つの共通点があった。それは江戸幕府を倒したいという想いである。
共通の敵を持ったものは仲間。そこに目を付けた坂本竜馬は両者を仲介し、薩長同盟を結ぶ。この薩長同盟が倒幕の原動力となり、新たな時代の幕開けを迎える。
類似性の法則という心理学の法則がある。これは自分と共通点、類似点が多い人間に人は親近感や好感を覚えるという法則である。
初対面同士でも、出身が同じ都道府県だったり、同じ趣味を持っていたり、共通の友人がいたりすると、親近感を覚え、会話に花が咲くことは多々ある。類は友を呼ぶと言うが、仲の良い友人は同じ考え方や価値観を持った者が多い。
敵さえ味方にする共通の目標
この法則は共通の敵や共通の目標を持った相手に対しても当てはまる。それほど仲良くなかった者同士でも、スポーツなどで同じチームメイトとして相手チームと戦ったりすると急に距離が縮まることはよくある。
仲の悪い者同士がなりゆきでタッグを組み、同じ敵と戦う中で友情を育んでいくという映画のストーリーはよく目にする。学園祭や運動会があると、良い成績を収めようとクラスの結束はぐっと高まる。
相手と共通の目標を持ち、同じ方向を向くことで、相手に親近感や好感を覚えるようになり、そして、その相手は共通の目標に向かって共に闘う仲間となる。
私は経営コンサルタントとして企業の経営相談に応じている。経営の様々な問題を解決する上で、この「共通の目標を持つ」「同じ方向を向く」という方法は極めて活用範囲の広い有効な方法となっている。
経営は人間関係の積み上げで成り立っている。上司と部下という関係、売り手とお客様という関係、買い手と仕入先という関係など。
それぞれの人間関係を改善していくことで組織のパフォーマンスは着実に上がっていく。この人間関係を改善していくためのキーワードが「仲間」である。
上司と部下であり、仲間である。売り手とお客様であり、仲間である。買い手と仕入先であり、仲間である。