7月14日、イランの核問題が最終合意に達した。合意によりイランは今後10年以上ウラン濃縮などの核開発活動が制限されるが、その見返りとして、数十億ドルに上る海外資産の凍結と原油輸出に関する制裁が解除される。
イランは国際原子力機関(IAEA)と共同で核開発疑惑の解明に努めることになるが、長年にわたる制裁に疲弊した国内経済を建て直すことが最優先課題だったイランにとっては想定内の「代償」であろう。
オバマ大統領は今回の合意を「さらなる希望に満ちた世界への第一歩」と評価した。だが、その表情には「歴史的合意」を達成した晴れやかさがない。野党・共和党が多数を握る議会の承認を得るという高いハードルが待ち構えているからだ。議会は5月に「イラン制裁の解除の前に議会での承認を義務づける」法案を可決したが、オバマ大統領は、議会で不承認となれば拒否権を発動する腹を固めていると言われている。これに対し共和党はこれを覆すために「両院で3分の2以上による再可決」を目指しており、波乱含みである。
対照的に今回の合意を手放しで喜んでいるのはロシアのようだ。「米国とEUはもはやロシアとイランのパートナー関係を妨害できない」。こう述べたのは露ラブロフ外相である。核開発交渉を通じて最もイラン寄りの立場をとってきたロシアは、制裁解除によりイランへの武器輸出が再開されることをあてにしている。