前回はクリーンエネルギー全般の特徴を述べたうえで、マクロ的な視点からその普及の課題について論じましたが、今回はクリーンエネルギーの代表選手である、ソーラー・風力・バイオ燃料について、それぞれの課題と可能性について整理します。まずは、ソーラー発電からです。

ソーラー発電

 ソーラー発電には、太陽の光を直接電気に変換させる太陽光発電と、太陽の光をいったん熱に変換し蒸気タービンで電気を作る太陽熱発電の大きな2つの技術があります。

 太陽光発電は、一般の家庭・オフィスビルなどの屋根の上に載せるルーフトップ型と言われるタイプに加えて、最近は、メガソーラー発電所と呼ばれる1MW以上規模のソーラープロジェクトも開発されています。

 一般家庭用の太陽光発電のサイズが3kW程度ですので、1MWとなると一般家庭300軒分以上の規模になります。 

 世界の太陽光発電の導入状況を見てみますと、2009年時点で、世界で約2万3000MWの太陽光発電が稼働しています。

 特徴的なのは2005年以降、特に2007年よりヨーロッパを中心に導入が大幅に伸びています。ドイツやスペインを中心に、太陽光発電からの電気を一定期間固定価格で買い取る制度であるフィード・イン・タリフが導入され、太陽光発電の普及に弾みがつきました。

 前稿の図14で示した通り、太陽光発電のコストはほかの発電方式コストよりかなり割高です。

 ただし過去の実績から、製造能力を2倍に拡張すれば太陽電池セルのコストは20%削減されるという、太陽電池版ムーアの法則の適応が可能と言われています*9

 今後、太陽光の電気への変換効率の向上などのさらなる技術の改良と製造キャパシティの拡大によって、大幅に太陽光発電コストが下落することが期待されます。

*9MIT Energy Conference 2007 Solar Power: A Path to Grid Parity?