主要国の長期金利に微妙な変化が表れている。不安定な動きとともに、ジリジリと上昇し始めているのだ。

 こうした長期金利の上昇は、景気回復の動きを背景としていると捉えられている。しかし、日米欧の長期金利の上昇は、本当に景気回復を背景としたものなのだろうか。

米国、ドイツで金利が急上昇

 米国では、FRB(米連邦準備制度理事会)が年内に利上げに踏み切る可能性が高く、量的緩和政策終了の先行きが見えない欧州や日本と違い、「利上げ」という新しいステージに向かい、景気回復基調を背景に長期金利が上昇しやすい環境になっている。

 この長期金利の上昇に警鐘を鳴らしたのは、イエレンFRB議長だった。5月6日の講演で、「初回の利上げを契機に、債券利回りは急激に上昇するかもしれない。こうした現象は2013年の『テーパータントラム』でも見られ、金利は非常に大きく上昇した」と金利上昇リスクを指摘した。

 「タントラム」とは「癇癪(かんしゃく)を破裂させること」で、量的緩和の縮小・停止(テーパー)を契機に長期金利が急上昇することを指している。2013年にはバーナンキ前FRB議長による量的緩和の縮小・停止発言を契機に「テーパータントラム」が発生した。

 実際に、米国10年債利回りは今年4月初旬には1.9%程度の水準にあったが、その後、急激に上昇を始め、6月27日には2.487%まで上昇した。

 欧州経済の中心を担うドイツでは、10年国債利回りが不安定な動きとなっている。4月17日には0.049%だった10年債利回りは、その後、急激に上昇して6月10日には一時1%を超えるまで上昇した。