米グーグルは6月23日、同社の有料音楽配信サービス「Google Play Music」に、広告付きの無料版を追加すると発表した。
まずは米国でサービスを始めるとしており、すでにウェブブラウザーで利用できるようにしている。週内には同社の「Android」や米アップルの「iOS」向けアプリでも無料版を提供するという。
専門家が選曲するラジオ型サービス
Google Play Musicは、最大3000万曲の楽曲が聴き放題になる月額9.99ドルのサービス。これは好みの楽曲を検索して再生したり、自分のプレイリストを作成したりできる「オンデマンド型」と呼ばれるサービス形態になる。
これに対し、新たに始める無料版は特定の楽曲を選んで再生することはできない「ラジオ型」と呼ばれるサービスだ。専門家が選んだ楽曲を配信する様々なラジオステーションを用意しており、利用者はその中から好みのものを選んで聴く。
グーグルによると、無料版ではジャンルや時代、その時の気分、活動に合わせてラジオステーションを選択できるほか、検索したアーティストやアルバム、楽曲の情報を基に、似たような曲を配信するラジオステーションを作ることもできるという。
無料版で利用者集め、有料版への移行を促す
この市場では英スポティファイ(Spotify)や米パンドラメディア(Pandora Media)が同様のストリーミングサービスを提供しているが、アップルも6月30日から世界100カ国以上で「Apple Music」を始める計画だ。
競争が激化する中、グーグルも気軽に利用できる無料版を投入することで、顧客の囲い込みたい考えだ。
グーグルはまず無料版で利用者を集め、機能やサービスが充実している有料版への移行を促したいと考えている。米ウォールストリート・ジャーナルによると、Android搭載スマートフォンで、グーグルの音楽サービスのアイコンをタップする人は、1カ月当たり数百万人いる。
だがサービスが有料であるがゆえ、利用者は初めにクレジットカード番号などの決済情報を入力しなければならない。その段階で多くがアプリを閉じ、ほかのサービスに行ってしまうと、同社の広報担当者は話している。