先頃、中国ではデジタル音楽の有料サービスが定着する土壌が整っていないと報じられたが、そうした逆境の中、同国のインターネットサービス大手、テンセント・ホールディングス(騰訊控股)は、この分野が有望な市場とにらみ、サービスの普及に力を入れているという。
盛りだくさんの特典で訴求
テンセントは、「QQ音楽」と呼ぶ無料の音楽配信サービスを運営しており、その中で、定額制のストリーミングサービス「グリーンダイヤモンド」を提供している。現在の有料会員数は300万人で、その数は伸びつつあるものの、QQ音楽全体の1割にも満たない状況だ。
というのも中国には違法音楽サイトが100以上あり、人気のあるものには1カ月当たり1億6850万人が訪れている。この数は正規運営されているどの音楽サービスのユーザー数よりも多い。
こうしたオンライン音楽事情を背景に、中国では有料サービスが普及せず、ほとんどが無料で提供されている。
これにより、同国ではデジタル音楽にお金を払うという習慣が根付かず、有料音楽配信サービスを利用する人はごく一部に限られている。そうした中、テンセントは定額制サービスのグリーンダイヤモンドに様々な特典を付けて、利用者を取り込もうとしている。
米ウォールストリート・ジャーナルの電子版が6月9日に掲載した、テンセントのオンラインエンターテインメント事業シニアバイスプレジデント、湯道生(Dowson Tong)氏へのインタビュー記事によると、同社は有料会員に高音質の音楽をダウンロードできるようにしたり、Tシャツや記念品などのグッズを贈ったり、会員限定のコンサートを開いたりしている。