「このようにアメリカ政府が干渉する真意は、南シナ海や東シナ海での紛争をあおり立てて、アジア太平洋地域におけるアメリカの影響力を確保しようという魂胆からであることは誰の目にも明らかである。アメリカの政治的指導者たちによる無責任な主張は、南シナ海での領域紛争をさらに引っ掻き回して地域の平和と安定に打撃を加え緊張を高める以外のなにものでもない」

日本に対しても強烈に非難

 G7外相会合声明が発せられると、中国共産党系英文メディアは上記のようなアメリカへの反駁に加えて、日本に対する強烈な非難を展開している。

「G7外相会合声明に、わざわざ南シナ海における領域紛争が取り上げられたのは、日本がこの問題を書き込むように執拗に根回しをした結果である。日本はG7外相会合という多国籍枠組みを利用して、南シナ海で中国が周辺諸国を脅かしているかのごとき印象を国際社会に宣伝することによって、東シナ海でも日本が圧迫されているかのごとき演出をなそうとしているのだ」

「このような動機に加えて、日本は、安倍首相による第2次世界大戦降伏70年声明や、戦時の残虐行為に対して懺悔をしないという方針から国際社会の関心を薄れさせる、という意図もある。日本政府が自己中心的な利益と目的のためにG7という国際的舞台を利用したことは、まさに恥ずべき行為と言えよう」

「このような日本の動きは、中国が最近、ASEAN諸国、とりわけベトナムと平和的に領域紛争を解決しようとしている努力に水を指すものである。日本による南シナ海問題への介入は地域の安定と平和の維持を危殆(きたい)に瀕せさせようとするものである。・・・日本は、再び、誤ったタイミングで誤った地域に口出しするという愚かな過ちを犯しているのだ」

「人工島には民間施設を設置する」と説明

 上記のような日本やアメリカに対する反論・非難と同時に、中国共産党政府は「南シナ海に建設中の人工島には数多くの民間用施設が設置されることになり、中国のみならず南シナ海周辺諸国や南シナ海を利用する国際社会にとり大きな貢献をなす」という説明も公表した。

 中国当局による人工島建設に関する公式発表は極めて珍しい。中国外務省によると、南シナ海のいくつかの環礁での埋め立て作業によって誕生する人工島では、科学的研究活動、気象観測、環境保護活動、漁業活動などが許可されることになるという。