外から店内に飾られた絵が見える。食事をしながら本格的なアートも楽しめるヴァン・ヴァン・ダールのような店はパリには少ない(写真:©VINGT VINS D'ART、以下特記以外も同様)

ほぼ無休でリーズナブル。口コミで評判が広がり人気店に

 料理人や菓子職人としてパリに住む日本人はとても多い。そんな中、ワインバー・レストランをプロデュースして、経営者として奮闘する若き日本人男性がいる。

 フランス人が頻繁に通う「ヴァン・ヴァン・ダール(VINGT VINS D'ART)」を経営するTOGOさんだ。取材した日も恋人同士や友人連れが次々にやって来て満席になり、断らないといけない客もいた。その賑わう店内でお話を伺った。

 ヴァン・ヴァン・ダールは、豊富な種類のワインと細部まで考え抜かれた料理が自慢の店。お洒落な店や美術館が集中するマレ地区にある。

 「地元の人に、おいしいワインとおいしい食事を毎日のように楽しんでほしい」というコンセプトで始めて丸3年。その願いが実現し、客層のほとんどがフランス人だという。

 「メディアでの宣伝はほとんどしていません。最初のころは友人、知人を呼んでいました。段々と口コミで広がって、今はいろいろな方たちが来てくださいます。常連さんも増え続けています。日本の雑誌に数回取り上げていただいたので、近ごろは日本の観光客もちらほらお見えになります。

 開店した途端にワーッと話題になる店は、よくあります。でも、しばらくして閉店してしまうことも多いです。僕は最初から、時間をかけてゆっくりと愛される店にしていきたいと思っていました」