味良し、価格良し、雰囲気良し、給仕人良し、そしてシェフも素敵! そんな抜群の魅力を持つレストラン「修 Shu」は、パリで初めての串揚げ専門店だ。6年前の開店時、著名フランス人ジャーナリストが絶賛して各種雑誌も次々に取り上げ、いきなり話題をさらった。
映画監督やハリウッド女優グウィネス・パルトロウ、パリを訪れた日本の俳優たちも来店するという修 Shuで串揚げを味わい、シェフの鵜飼修(うかい・おさむ)さんにお話を伺った。
予約必須! 串揚げコースで味わう「和食」
「気軽に行ける、裏通りの揚げ物屋さんという気持ちで始めて、それを維持しているんですよ」。鵜飼さんは自分の店についてそう語る。
しかし、実際は、気品漂う和食レストランと言った方が正しい。串揚げというと、たくさんのキャベツが添えられていたり、自分の好きな串を自分で揚げるスタイルだったりと様々だが、修 Shuでは3種類のコース、風(38ユーロ、約5500円)、鈴(48ユーロ、約7000円)、響(63ユーロ、約9100円)から、お腹の空き具合に合わせて選ぶ。
風と鈴で串揚げ15本、響で串揚げ9本が出される(1本につき食材1種類ずつ)。これに小鉢、季節のお造り(刺身)、季節の料理、お茶漬けや稲庭うどん、デザートといった料理が盛り込まれている(響は季節の料理の点数が他より多い)。
「和ということを強調しているつもりはありません。ですが、せっかく来ていただくので、串揚げだけでなく、ほかの和の料理も味わっていただきたくてこういう形にしました」
メインの串揚げ1本1本も、ほかの料理も、どれをとってもまさに美味。胃に入った料理のエネルギーが体中を巡り、心までじわじわと温かくなっていくのが分かる。こんなにおいしいのは食材がよく、鵜飼さんの腕がいいからだろうが、それだけではない気がする。
やはり、心がこもっているからだと感じずにはいられなかった。それは鵜飼さんの言葉にも表れていた。
「開店してからいままで、1度も病気で仕事を休んだことはありません。たとえ多少具合が悪くても、キッチンに立つと集中してほかのことは忘れてしまうんです。そのかわり、仕事が終わると力が抜けきった状態になったり、休日に寝込んでしまったりしますが」