パリのレストランのプレスからメールが届いた。表題には「Sakés(サケ)とCeviches(セヴィチェ)のランチ」とあり、ジャーナリスト向けのプレゼンテーションをするという。
レストランの名は「RECH(レッシュ)」。魚料理で有名な老舗レストランで、2007年からはアラン・デュカスグループの傘下となり、モダンな内装にイメージチェンジ。今年になってめでたくミシュランの一つ星を獲得している。
著名レストランが催した日本酒の試飲会
日本人であるからには、まずこの「Saké」の文字に興味をそそられる。食の都パリで現在、「Saké」はそのまま日本の「酒」を示す言葉として通用しつつある。
背景には、ここ数年の間に日本食レストランが目に見えて増え、日本人から見れば日本食と言ってほしくないものも多いのは確かだが、本格的な和食の店も続々とオープンし、メディアでもかなり頻繁に取り上げられていることが大きい。
さらに和の食材もフランスに着々と浸透中で、そのアイテムのひとつとしてSaké(日本酒)がある。パリの日本食材店では、昨今かなり通な銘柄も含めて豊富なレパートリーを一般消費者に提供しているという状況だ。
さて、もうひとつのキーワード「Ceviches(セヴィチェ)」。わたしは最初不案内だったのだが、ラテンアメリカ、特にペルーでは国民食とも言えるもので、新鮮な魚を生の状態でマリネしたもののこと。数百年の歴史がある伝統料理だそうだ。
パリの有名レストランを舞台にした、酒とセヴィチェの“マリアージュ”。さてどんなことが繰り広げられるのか・・・。
会食当日。ビジネスランチのテーブルが多い店内、2階奥に通されると、そこではアラン・デュカスグループのエグゼクティブソムリエであるジェラール・マルジョン氏が両手を広げて出迎えてくれた。
テーブルセッティングを見れば、横一列にずらりと並んだワイングラス。1人分がいくつになるのか、3つ4つでないことは確か。軽いランチというよりは、試飲会の様相である。
全員が揃うまでのあいだ、ウェルカムドリンクとして出されたのは、フェミニンなボトルに入った純米うすにごり生酒「綾(あや)」。きりりと冷えてほんのり甘みのある微発泡酒は、なるほどフレンチレストランでも気が利いたアペリティフになりうる。