マレーシア政府系投資会社の巨額不正疑惑を暴いたサラワク・レポートの創立者で編集長のクレア・ルーキャッスル・ブラウン氏。元BBCのジャーナリストで、英国のブラウン元首相の義妹にあたる(写真提供:ブラウン氏)
 

窮地に立つマレーシアのナジブ首相

 本シリーズ第1回の『マレーシア政府系投資会社の巨額不正疑惑が明るみに』(3月26日付)および第2回『マレーシア首相一家と蜜月、大富豪ジョー・ローの謎』(3月31日付)で、マレーシア政府系投資会社「1MDB」が抱える同国企業史上最大の巨額借金と、それに伴う不正疑惑への関与が取り沙汰される華僑系大富豪ジョー・ロー氏の周辺について解説してきた。

 こうしたナジブ首相一家とロー氏の不透明な関係や不審な金の流れなどの疑惑を、ソーシャルメディアや主要経済紙「Edge(エッジ)」が一部報道。

 マレーシア国内では内外のメディアに報道規制が敷かれてきた中、ニューヨーク・タイムズ紙や「サラワク・レポート」など外国メディアの報道で内情が次々と暴かれたことで、ナジブ首相(財務相兼務)は窮地に立たされている。

 そのナジブ首相は3月4日、財務省傘下の1MDBの監査を会計検査院が行うよう指示したと発表。さらに、会計検査院は監査報告書を与党連合や野党連合で結成する公会計委員会に提出し、不正行為に対しては法的措置も下されるとした。また、国家警察のカリド長官も「首相も含め処罰対象に聖域はない」と断言する。