4月2日、秋篠宮ご夫妻の次女、佳子さまが国際基督教大学(以下、ICU)に入学された。自ら望まれてICUをお選びになられたわけで、それをもってしてもこの大学の評価がうかがい知れる。
実際、子供が少なくなる一方の日本にあって、ICUは今年の受験生が昨年より22%も増えているという。
また昨年は文部科学省が進めるスーパーグローバル大学創成支援の採択校(グローバル化牽引型)にも選ばれている。
グローバル教育の草分け的存在でもあるICUは選ばれて当然という見方もあるが、これまでご紹介してきた国際教養大学や会津大学の時にも書いたように、変化率が求められるため、今までレベルの高いグローバル教育を実施してきたからといって採択校になるとは限らない。
レベルの高い大学はさらに上のグローバル教育を目指すカリキュラムなどを準備しなければならない。言葉を変えれば、大学の改革をきちんと実行できるかどうかが評価の分かれ目となったようだ。
例えば、国立の有名大学としては一ツ橋大学や横浜国立大学、関西の神戸大学などが選考に漏れているし、グローバル教育の先進校とされていた同志社大学も落とされてしまった。
今回、ICUの日比谷潤子学長にインタビューし始めてすぐ、ICUが選ばれた理由が分かった。とにかく前へ向かって改革を進めていく意欲が半端ではないのである。そしてエネルギーがあふれている。
米国のアイビーリーグ(東部の有名私立大学8校の連盟)では既に女性学長が当たり前になっている時代、日本に優秀で活力に満ちた女性学長がいることの意義も大きい。
大学は激しい競争の時代を迎え始めている。改革に後ろ向きな大学は今までどんなに有名であっても間違いなく落ちこぼれていく。
一般入試の大幅改革で受験者数が22%増加
上智大学外国語学部フランス語学科卒業・同大学院外国語学研究科博士前期課程修了。ペンシルベニア大学大学院言語学博士(Ph.D.)。慶應義塾大学国際センター助教授、 ダートマス大学客員准教授、国際基督教大学準教授(2002年当時)、教授、学務 副学長を経て、2012年に学長就任。専門は社会言語学。
川嶋 ICUは、今年から入試方法を変えられたそうですね。
日比谷 ICUは建学以来、日英両方を公式言語にするバイリンガリズムとリベラルアーツ教育を特徴としているので入試もほかとは違うスタイルをとってきましたが、今年、さらに大がかりな一般入試の改革をしました。
まずは「総合教養」という新しい科目を作ったことです。英語で「ATLAS」と言い、「Aptitude Test for Liberal ArtS」の頭文字をとったものです。
ATLAS、つまり地図という意味ですが、「皆さんの未来地図を描きましょう」「地図を片手に出かけよう」というようなメッセージを表しています。一般入試はA方式とB方式がありますが、「総合教養」は共通科目で全員が受けるものです。