(1)高まる懐疑の中で高値更新
米、独、英など先進国の株価が軒並み史上最高値を更新、最高値から大きく遅れてきた日本株も先週末(3月6日)日経平均が1万8900円台となり15年ぶりの高値となった。力強い長期上昇の波に入った可能性が濃厚である。
先進国経済は何重もの追い風を受けている。大幅な原油価格下落、共通の超金融緩和、空前の企業収益が揃うことはめったにない。日本株式で始まっていると(筆者が想定する)世紀の上昇相場の、第2の波に入ったと思われる。
懐疑が高まる中での高値更新である。急ピッチの上昇により株価水準は過熱領域にあるが、需給面では逆で待機資金が積み上がっている。東京・名古屋2市場の信用買い残は6週連続で減少し、売り残もやはり6週連続で増加しており、これは2012年のアベノミクス相場が始まって以来最長である。投資家は著しく警戒的なのである。2012年11月アベノミクス相場が始まって以降の大幅下落は2013年5月、2014年1月、2014年10月の3局面があり、いずれも信用取り組みは売りが積み上がり買い残の減少で信用倍率が大きく高まった時であったが、今は全く逆である。2012年からの上昇相場をけん引した外国人も、2015年2月前半までは売り越しであった。
売りの理由は明白である。チャートが棒立ちになり、株価の移動平均からの乖離が極端になっているからである。代表的長期投資家である、ある投信は現金比率を現在の5%弱から30%まで引き上げると表明している。確かに循環論で見れば今は株を買う局面ではない。では循環ではなくトレンドが変わったのか。