本記事は1月9日付フィスコ企業調査レポート(アパマンショップホールディングス)を転載したものです。
執筆 客員アナリスト 
佐藤 譲
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店舗数は業界トップ、1店舗当たりの収益性は群を抜く

 アパマンショップホールディングス<8889>は、住宅用賃貸斡旋業務で日本最大級のアパマンショップを運営する持ち株会社。2014年9月末時点のアパマンショップ店舗数は1,132店舗(2013年9月末比70店舗増)と業界トップ。多彩なキャンペーン企画による集客力の高さと、関連サービスの販売力が同社の強みで、1店舗当たりの収益性は業界でも群を抜いている。

 2014年10月30日に発表した2014年9月期通期の連結業績は、売上高が前期比微増の36,655百万円、営業利益が同8.7%減の2,108百万円となった。当期の営業利益が減益となった要因としては、期中にWEB掲載物件情報の品質向上・厳格化を目的に、直営事業の全掲載物件の再確認を行い、改めて掲載しなおす作業を実施したことが挙げられる。この作業により、一時的に掲載物件数が減少し、反響数が過去の平均値(注)に比べて下回ったことで、斡旋事業やPM(プロパティ・マネジメント:賃貸管理業務及びサブリース業務)事業の売上高・利益で400~600百万円程度のマイナスの影響があったとみられる。

:過去の平均値とは、前期2期分の平均値のこと。(以下、同様)

 同社は2014年9月期通期業績発表の際に、新しく作成した中期経営計画(2015年-2017年の3ヶ年計画)も発表した。2017年9月期の経営目標値として、売上高42,000百万円(2014年9月期比15%増)、営業利益3,000百万円(同42%増)を掲げた。本業である斡旋事業やPM事業以外の非本業の整理がほぼ一巡したことで、今後は引き続き、本業に重点を置きつつ、パーキング事業等の関連事業の成長戦略を加速させていく方針だ。斡旋事業における店舗数の拡大とPM事業での管理戸数拡大を進めていくと同時に、これら本業の関連サービスの拡充を図りながら、収益成長を目指していく。また、現在は外注している各種業務の内製化も段階的に進めていく方針で、同社では内製化によるコスト低減効果としては年間100〜200百万円程度を見込んでいるものの、現時点では慎重に進めていくなどの理由で今回の中期経営計画にはこの効果を織り込んでいない。このため、中期経営計画の業績目標値は保守的な印象が強く、弊社では今後上振れの可能性があるとみている。

 2015年9月期通期の連結業績は、斡旋事業の拡大をけん引役として、売上高が前期比5.6%増の38,700百万円、営業利益が同13.8%増の2,400百万円と増収増益に転じると同社は見込んでいる。また、配当金については2014年9月期並みの年間10円を予定している。当面は安定的な配当実施を基本に考えているが、中期的には特別利益などを除外した実質ベースの利益水準で配当性向20~30%がひとつの目安になるとしている。弊社では、今後も収益の拡大が続けば増配の可能性も出てくるとみている。

Check Point

●店舗当たり売上減は一時的、関連サービス収入は差実に拡大
●新中計は2017年3月期で売上高42,000百万円、営業利益3,000百万円
●斡旋事業とPM事業が引き続き業績を牽引へ