森と牛と人の循環「森林ノ牧場」

「森林ノ牛乳」が生まれるところで牛に舐められる

2010.08.30(Mon)前田せいめい
森林ノ牧場 那須・櫛田豊久氏/前田せいめい撮影櫛田豊久氏(アミタ 循環社会センター那須ラボ ラボ長代理)

 櫛田さんはアミタに入社する前、10年ほどシイタケ栽培を生業としていた。実家が農業を営んでいるというわけでもなく、大学を卒業して就職した会社を退職しての、いわゆる「Iターン就農」である。

 親戚も知り合いもない山に一人移住し、6年目には当初目標とした年間売り上げ1500万円を達成して順調に農業を続けられそうだったが、思わぬところに黄信号が点った。

 彼はシイタケを栽培するにあたって購入原木を使っていた。シイタケの菌を植え付けるホダ木を業者から購入するのである。

 「そのうち原木の業者さんが、原木がないんだ、木がないんだって言うんですよ。木がないんだって木なんか山にいっぱいあるじゃないですかって言ったら、いやいや、シイタケに適した木がないんだ、と」

 「ほんとは適切に伐採して、萌芽更新して20年後にはもとの山に戻るような伐り方をしないといけないのに、経済性を優先して売れる木だけを抜き伐りして放置しておくので、シイタケの原木が採れない山になっちゃうんですね」

 「そうやって年数が経てば経つほど、山が駄目になっていくんです」

 シイタケ栽培を継続維持するためには、資源である山の適切な管理、シイタケにつながるあらゆる関係性の適切な連関を見つめなくてはならないことに気づかされた。

 組織否定派の一匹狼を自認していた櫛田さんが後にビジネススクールに入り、修士論文の研究を通じて出合ったアミタに合流して再び組織の一員となったきっかけの1つである。

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