先頃、米国の市場調査会社、IDCが世界のタブレット端末市場の成長が急速に減速していると報告したが、同社がまとめた別のリポートを見ると、パソコン市場はタブレットよりも状況が悪いようだ。
今年の出荷台数は2.7%減少する見通し
リポートによると、今年の世界パソコン出荷台数は3億670万台となり、前年から2.7%減少する見通し。これに先立つ今年8月、同社は今年の出荷台数が前年比で3.7%減少する予測していたので、今回は見通しに若干の改善が見られた格好だ。
IDCはその理由として、7~9月期の出荷台数が前年同期比で0.5%減と小幅な減少にとどまったためと説明している。ただし、この7~9月期の結果は中・長期に及ぶ力強い成長を示すものではなく、短期的な回復にすぎないという。
昨年の年間パソコン出荷台数は前年比9.8%減の3億1510万台で、これは同社が統計を取り始めて以来最大の落ち込みだった。
今年は上半期に成熟国市場で法人向けと消費者向け製品が伸びており、いくらか改善の兆しが見られた。だが年間ではプラス成長に至らず、パソコン市場は引き続き先行き不透明だと同社は指摘している。
成熟国市場と新興国市場
IDCは世界のパソコン市場を、成熟国市場と新興国市場に分けて数値を出している。前者の成熟国市場には、米国、西欧、日本、カナダなどが含まれ、後者の新興国市場には、日本を除くアジア太平洋地域、中南米、中・東欧、中東、アフリカなどが含まれる。
推計によると、成熟国市場の今年の年間出荷台数は、1億4270万台で、前年比7.1%増加する見通し。7~9月期は西欧と日本の市場で予想を上回る出荷台数があったという。
だが、これは前年からの反動増のほか、年末商戦のある10~12月期に向けた在庫の積み増しと、「ウィンドウズ XP」のサポート終了に伴う買い替え需要といった短期的な要因によるもの。成熟国市場の出荷台数は来年再び減少し、市場規模は今後4年間で若干縮小するという。