そのうえで2015年1月からの新議会で、共和党陣営は、アジアとの経済の絆の強化、アジアでの米国の立場の強化、旧来の同盟諸国や新たな友好諸国との安保関係の強化、特にオーストラリア、日本、インドなどとの結びつきの強化を進め、中国の膨張を抑えていくことになるだろうという。

 共和党多数議会の具体的な動きとして、第1に挙げていたのは、TPPの促進である。

 オバマ政権がTPPを推進しながらも、与党の民主党は保護貿易主義に傾き、TPPに反対する勢力が強いことはすでに知られてきた。オバマ大統領は、議会で貿易関連の多数の法案を一括して審議・採択できる「ファストトラック採択権限(TPA)」(早期一括採択方式)が必要だとしていた。しかし、上院民主党総務のハリー・リード議員らが反対することが大きなブレーキとなってきた。

 だが、議会で共和党が両院を制覇したいま、オバマ大統領は共和党の協力でTPPの推進が容易になるというのだ。この展開は、アジアの多数の国から歓迎されるだろうというわけである。

中国の軍拡の脅威に警鐘を鳴らす共和党

 同論文が第2に指摘するのは、米国の国防費削減を緩和する動きである。

 共和党は元来、民主党よりも国防重視で、オバマ政権が財政赤字を理由に国防費の予算執行を差し止めることに対して難色を示してきた。その共和党が来年の新議会で両院の多数を占めれば、オバマ政権としても、従来のような大幅な国防費削減は容易にはできなくなる。