米国のチャック・ヘーゲル国防長官は11月24日、辞任すると発表した。このニュースを最初に伝えたニューヨーク・タイムスによると、ヘーゲル長官は、バラク・オバマ大統領の圧力により辞任せざるを得なかったようである。つまり解任である。

解任されたヘーゲル長官

オバマ大統領、アジア歴訪を4月に再設定 関係強化目指す

反日・親中の急先鋒、スーザン・ライス米大統領補佐官(安全保障担当)〔AFPBB News

 我が国にとって、オバマ政権内における数少ない日本の理解者を失うことになる。大きな損失であり、残念でならない。

 ヘーゲル氏は、任期を2年残して事実上解任されることになったが、かねてヘーゲル国防長官とオバマ大統領の側近たち特にスーザン・ライス国家安全保障担当大統領補佐官との意見の対立が報道されてきた。

 オバマ大統領を支えるスタッフについて、アジア太平洋のことを本当に理解しているエキスパートがいないのではないかという懸念が米国内外にあった。その典型例はライス氏であるが、オバマ大統領はまたしても評判の良くない側近を擁護し、国防長官を排除することとなった。

 中間選挙において敗北を喫したのを契機に、不手際が目立つライス氏やジョン・ケリー国務長官を更迭するのではないかという報道がなされていたが、最終的には側近ではなく、外様であるヘーゲル氏が辞任することになった。

 ライス氏やケリー氏こそ辞任すべきだと思っている人たちは多いと思う。彼らの残留により、今後2年間のオバマ政権の安全保障分野での混迷は継続すると予想され、我が国もそのことを覚悟して対処する必要がある。

 ヘーゲル氏の辞任により、オバマ政権6年間で3人の国防長官(ロバート・ゲーツ、レオン・パネッタ、チャック・ヘーゲル)が辞任することになったが、ゲーツ氏とパネッタ氏は、辞任後回顧録を出版しオバマ大統領を厳しく批判している。

 その批判の焦点は、オバマ大統領の軍の最高指揮官としての資質に対する疑問である。決断力の欠如、軍に対する信頼感の欠如、最高指揮官としての責任感の欠如などである。

 オバマ大統領の誠実で真面目な性格や弱者に対する思いやりとか地球環境に対する配慮とか評価すべき諸点は認める一方で、こと軍の最高指揮官としての資質については2人の元国防長官の評価に同意せざるを得ないのである。