香港デモを支持する本土出身者のジレンマ、中国

中国共産党にとって極めて微妙な問題となっている香港の民主化デモ〔AFPBB News〕

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 そして、慎重にして良識的な学者で中国憲法学会の副会長を務める張千帆氏がいる。

 政治分析に対する張氏の穏健なアプローチ――北京大学で同僚だったころ、同氏は現政権に対して過度に軽蔑的だとして、筆者の立場を批判することがあった――からすると、政府の標的としては、張氏はいくらか意外な人物だった。

 張氏は、香港の抗議を支持する多くの同輩(筆者を含む)の決断に反対している。1989年当時のように、政府が暴力的な抑圧に訴えることを恐れてのことだ。そう考えると、張氏の著作の発禁はきっと、抗議活動に対する同氏の見解ではなく、同氏の憲法研究が持つ意味合いが理由なのだろう。

 それと比べると全く意外ではなかったのが、この10年間、いわゆる「微妙な」問題の多くに関与してきた著名活動家、人権運動家の郭玉閃氏が最近逮捕された一件だ。例えば2012年、同氏は世界的に有名な盲目の活動家、陳光誠氏が自宅軟禁から脱出するのを助けるうえで重要な役割を担った。脱出劇は中国にとって国際的な大恥だった。

 とはいえ、今月の全体会議の直前にあたった郭氏の逮捕のタイミングは、ことが法の支配に及んだ時の共産党の誠意の欠如を浮き彫りにしている。

反体制派に対する忌むべき処遇

 国内外にいる中国の反体制派の扱いは、忌まわしいものだ。彼らは罪とされる行為で投獄されるか、あるいは、中国の家族の元を訪れるのを禁止される。時として、それは20年、30年に及ぶこともある。

 これは、声高に反共産党を掲げる人だけの運命ではない。学者や研究者――元プリンストン大学教授のペリー・リンク氏やコロンビア大学のアンドリュー・ネイサン教授、チベットの近代史を専門とする著述家兼歴史家の李江琳氏ら――のみならず、ビジネスマンでさえ、中国へ帰国することを禁じられている。

 中国で人権運動に共感したり、共産党の立場に相反する見解を表明したりするだけで、ビザの発給を拒否されたり、ビザを取り消されたりするのだ。