D・カーネギーの『人を動かす』は、ビジネス書の名著として世界で読み継がれている。
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 どんなに優れた製品・サービスを提供していても、営業が数字を追求し、数字をつくらなければ、安定した経営は成り立たない。個々の営業担当のスキルはもちろん大事だが、全メンバーをチームとして束ね、会社としての目標を確実に達成していくには、営業リーダーのマネジメントが極めて重要な意味を持つ。本連載では『なぜ営業リーダーの仕事はこんなに難しいのか』(遠藤公護著/クロスメディア・パブリッシング発行)から、内容の一部を抜粋・再編集。営業におけるKPIマネジメントの要諦とチームをまとめるリーダーシップの在り方を提示する。

 今回は、メンバーのプロ意識とモチベーションを高めるマネジメントのコツとカルチャーづくりの重要性を解説する。

プロ意識を持たせ、人を動かす秘訣

なぜ営業リーダーの仕事はこんなに難しいのか』(クロスメディア・パブリッシング)

 第4回までの記事を読んでくださったあなたは、「果たして、自分のチームのメンバー全員にここまでのプロ意識を求めることはできるのだろうか?」という疑問を抱いているかもしれません。

 正直なところ、私自身も、高い目標設定や新しい期における行動指針を共有したからといって、全員が常に高いモチベーションを維持し続けられるとは考えていませんでした。

 だからこそ、私は営業リーダーとして、四半期の3ヶ月という期間を通して、メンバー一人ひとりのモチベーションを高めるための働きかけを継続的に行ってきたのです。ここでは、数字から逃げない強いチームをつくるために、私が実践してきた具体的な行動についてお伝えしていきます。

① 頼りにして人を動かす

 33歳で初めてマネージャーになったとき、カーネギーの『人を動かす』を薦められました。この本で特に参考にしているのは、「人はどうすれば誰かのために動いてくれるのか」という点です。カーネギーは、人は「重要感」を得たいと願い、その欲求を満たしてくれる人の言葉には懸命に従うと説いています。

 営業リーダーに置き換えると、メンバーに重要感を与えることで、モチベーションを高め、売上につなげられます。

 では、どのように重要感を与えるのか。本書では、心からの褒め言葉や感謝に加え、「頼りにする」というシンプルな言葉が最も効果的だと述べています。