結局、人工甘味料は体にいいのか悪いのか

「ネイチャー」人工甘味料論文の衝撃(前篇)

2014.10.17(Fri)漆原 次郎

中島 いえ、種類によって仕組みが異なります。

中島啓氏。城西大学薬学部医療栄養学科臨床栄養学講座教授。医学博士。内科専門医。防衛医科大学校医学研究科循環器病学専攻などを経て、2007年より現職。専門分野は臨床栄養学。研究分野は代謝、インスリン抵抗性、炎症、循環器疾患、肥満、栄養、嗜好飲料など。最近では、朝食の欠食と肥満やメタボリック症候群との関連性や、消化酵素アミラーゼと糖尿病の関連性などを研究している。

 例えば、アスパルテームはアスパラギン酸とフェニルアラニンという2種類のアミノ酸が結びつくだけで、砂糖の約200倍の甘みが出ます。ごく微量を使えば砂糖の甘味の代わりになるわけです。

 一方、スクラロースという人工甘味料は、体の中で代謝も吸収もされずにそのまま体外に出ていきます。このように仕組みは様々です。

――天然物質の甘味を再現したタイプと、天然にない甘味を合成したタイプではどちらがより多く使われているのでしょうか?

中島 天然に存在しないタイプのほうが値段が安いので、より多く使われているものと思います。アスパルテームやスクラロースは飲料の原材料名表示でもよく見ると思います。

長期の疫学試験にも短期の介入試験にも課題が

――これまでも、人工甘味料と糖尿病や肥満の関連の有無を調べた研究はあり、人工甘味料が血糖値などに「影響する」という結果と「影響しない」という結果が出ていると聞きます。どうして、反対のような結果が出るのですか?

中島 要因の1つは、対象者が異なるということです。年齢や性別が異なれば、様々な食品の体に対する影響も変わってきます。

 過去には、20年間などの長期にわたり、人工甘味料をどのくらい摂った人だと、糖尿病や肥満のリスクがどのくらいになるかといった関係性を調べる疫学研究が行われてきました。これらの研究には、対象者の平均年齢が50歳ぐらいのものもあれば30歳ぐらいのものもあります。もし、人工甘味料が本当に体に悪いのだとすれば、お年寄りのほうがもともと糖尿病などになりやすいので、影響を受けるのではないかと思います。

――日本では疫学研究は行われているのですか。

中島 人工甘味料そのものではありませんが、富山県の中年男性2000人ほどを対象に、清涼飲料水ならびにダイエットソーダ(人工甘味料入炭酸水)と、2型糖尿病リスクの関係を7年にわたり追跡した調査があります(筆者注:2型糖尿病は生活習慣を主な原因とする糖尿病で、現在の日本の糖尿病患者の約95%を占めるとされる)。

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